実践編:ニュルンベルクの「ドイツ・ゲームアーカイブ」、36周年を迎える。

ドイツのニュルンベルクには、1945年以降から現在までのドイツゲームを3万点以上保管している公的研究機関「Deutsches Spielarchiv」(ドイチェス・シュピールアルヒーフ=ドイツ・ゲームアーカイブ)があります。少し前のFB記事になりますが、今年で36周年を迎えたそうです。記事を読んでみましょう。

まずはFBの記事を見て、以下の情報を確認しましょう。

  • アーカイブは当初、誰によってどの街で始まったか?
  • 最初はいくつのゲームがあったか?
  • アーカイブがニュルンベルクに移転したのはいつからか?



重要な情報は読み取れたでしょうか?以下が解答です。

  • アーカイブは当初、誰によってどの街で始まったか?→Marburg(マールブルク)
  • 最初はいくつのゲームがあったか?→5000 Spiele(5000個のゲーム)
  • アーカイブがニュルンベルクに移転したのはいつからか?→2010年

それでは語句や節ごとに区切って読んでいきます。動詞の成分は赤字に、動詞を文末に置く、従属接続詞と関係代名詞は青字にしてあります。

Happy Birthday to us =ハッピー・バースデー私たち
Vor genau 36 Jahren=ちょうど36年前に fand=見つけた(findenの過去形)
das Deutsche Spielearchiv=ドイツ・ゲームアーカイブは
seinen Anfang=その始まりを
in Marburg...=マールブルクで…

「ちょうど36年前にドイツ・ゲームアーカイブは、マールブルクで始まりました…」

Mit damals „nur“ 5.000 Spielen=当時は「たった」5000個のゲームで
hat=habenの三人称単数形。ここでは完了の助動詞として文末の過去分詞geschaffenとセットで現在完了を作っている。
Dr. Bernward Thole=ベルンヴァルト・トーレ博士は
einen Ort der Forschung und Dokumentation=研究と資料整備の場所を
geschaffen,=開設しました(schaffen=創造する、作り出すの過去分詞)

「当時は「たった」5000個のゲームで、ベルンヴァルト・トーレ博士は、研究と資料整備の場所を開設しました。」
den=それを(関係代名詞男性4格で、名詞Ortを指している) wir=私たちは
uns=私たちにとって。再帰代名詞sichの3格。動詞wegdenkenとセットで使われている。
heute=今日
gar nicht mehr=もはやまったく~ない。
wegdenken=~を存在しないものと考える
möchten.=~したい。 普通、助動詞は文の二番に置かれるが、関係文の中では定動詞が文末に置かれる。

「それを私たちは今日、私たちにとってもはやまったく存在しないなどと考えたくはありません。」

この部分は関係文なので、den ~ möchtenの一文は、einen Ortに丸ごとつながります。日本語訳をつなげると、「当時は「たった」5000個のゲームで、ベルンヴァルト・トーレ博士は、私たちが今日、私たちにとってもはやまったく存在しないなどと考えたくない、研究と資料整備の場所を開設しました。」となりますが、区切って読んだ方が分かりやすい場合もあります。意訳して「私たちにとって必要不可欠な、研究と資料整備の場所」としてもよいでしょう。

Seit 2010=2010年以降
sitzt=位置している
das Spielearchiv=ゲームアーカイブは
nun=今
in Nürnberg.=ニュルンベルクに

「2010年以降、ゲームアーカイブは現在ニュルンベルクにあります。」

Inzwischen=そうこうするうちに、これまでの間に
ist=seinの三人称単数形。文末の過去分詞gewordenとセットで現在完了を作っている。
es=それは→das Spielarchivの言い換え
um mehr als 25.000 Spiele reicher=2万5千以上のゲームの分だけより豊かに(なった)※前置詞umは数量的に「~だけ」の意味で、比較級reicher(より豊か)とセットで使われている。mehr alsは「~以上」。
und=そして
eine Kulturstätte wie keine andere=他のどこにもないような文化の地に。Kultur=文化、Stätte=場所、所在地(雅語)。keineは否定冠詞(~ない)で、andereは形容詞ander(別の)に語尾「e」がついている。keine andereの後には普通、名詞が置かれるが、ここでは「Kulturstätte」が省略されている。「他の文化の地ではありえないような、文化の地になった」というイメージ。
geworden. =なりました(werdenの過去分詞)

「それまでの間に、アーカイブは2万5千以上のゲームを増やし、他のどこにもないような文化の地になりました。」

Und=そして
es=それは
ist=~です
ein Gemeinschaftswerk: =共同の産物→Gemeinschafts共同の+Werk作品、作業、産物

「そしてそれは共同の産物です。」

Denn=なぜなら
wo=どこに
wären=いたことでしょうか(動詞seinの接続法2式。非現実の仮定の事柄について述べている)
wir=私たちは
heute, =今日

「なぜなら私たちは今日、どこにいたでしょうか」

wenn=もし(従属接続詞なので定動詞が文末に置かれる)
es=非人称のesで、熟語「es gibt」(~がある、存在する)のes
nicht=~ない
überall=いたるところに
auf der Welt=世界中の
Spielbegeisterte=ゲームに熱狂している人々が
gäbe, =存在するとしたら(gibt→gebenの接続法2式。非現実の仮定の事柄について述べている

「もし世界中のいたるところにゲームに熱中している人々がいなかったとすれば、」

die=彼らは(関係代名詞複数1格で、名詞Spielbegeisterteを指している)
ihren Teil=彼らの一部を、自分たちなりの、相応分の
zum Erhalt der Spielgeschichte=ゲーム史の保存に
beitragen.=(zu~に)寄与する、貢献する

「彼らはゲーム史の保存のために相応の貢献をしています」

Denn以降の三文は「主文+副文+関係文」でつながるので、まとめると、「なぜなら、もし世界中のいたるところに、ゲーム史の保存のために相応の貢献をしている、ゲームに熱中している人々が存在しなかったとしたら、私たちは今日、どこにいたことでしょうか。」となります。

Alles Gute zum Geburtstag, =誕生日おめでとう。
liebes Spielearchiv!=愛するゲームアーカイブ!



※  ※  ※


いかがでしたでしょうか?ニュルンベルクのドイツ・ゲームアーカイブは、ボードゲームの図書館のようなところです。ボードゲームの収集と保管の他に、定期的にゲーム会等のイベントも行われています。管理人Wildkatzeも昔訪れたことがありますが、一つのゲームについても、有名な物は初版から新版まで収められており、ゲーム関連の書籍の図書室もあります。特に、著名なゲーム作家、アレクサンダー・ランドルフが、ゲーム制作時に作ったスケッチやゲームのプロトタイプ(ゲーム盤やコマなど)の展示は必見です。事前予約すれば、アーカイブを見学させてもらえるので、ニュルンベルクに行く際には立ち寄ってみるとよいでしょう。
ドイツ・ゲームアーカイブのページはコチラ

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