基礎編11:最初に受け取るのはタイル一つとカード一枚ー「不定冠詞と名詞の格変化+メルヒェン創作」

 学習目標:

  • ゲームの説明書で使われる文言を理解できる。
  • 不定冠詞の格変化と用法を知る。
  • 名詞の性と格に合わせて不定冠詞を変化させて使うことができる。
  • 簡単な単語を使って、メルヒェン(ドイツの昔話)の冒頭部分を創作できる。
  • 定冠詞と不定冠詞を意味に応じて使い分けることができる。

前回は定冠詞の格変化の練習をしました。「名詞の性・数」(男性・女性・中性・複数)と「格」(1格~4格、日本語だと「が・の・に・を」)の2つの要素によって、定冠詞der/die/dasの形が変わっていましたね。今回は英語の"a, an"にあたる、不定冠詞"ein"(アイン)の変化を練習します。これと並行して、ボードゲームの説明書の中でも、準備やゲームの進行の部分でよく使われる表現も身につけましょう。

1.不定冠詞einはどのような格変化をするか、探してみよう。

不定冠詞einも、定冠詞と同じように、名詞の性と格によって変化します。どのような変化をするか見てみましょう。次の例文から不定冠詞を抜き出して、下の表の対応する箇所に入れて表を完成させてください。専用のワークシートもあります。

不定冠詞は太字になっています。名詞の性(男性か女性か中性)と格(が・の・に・を)を確認して、表のどこに入るか考えてみましょう。名詞はMarker=マーカー、Karte(カルテ)=カード、Plättchen(プレットヒェン)=タイルの三つです。

3番のPunktekarteは、Punkte+Karteでできている名詞で、女性名詞です(2つ以上の名詞が合体してできる複合名詞の性は、後ろの名詞の性を取ります)。音声も聞いてみてください。



1) Jeder Spieler erhält einen Marker, eine Karte und ein Plättchen.

各プレイヤーは、マーカーを一つ、カードを一枚、そして、タイル一つを受け取ります。

2) In der nächsten Runde wird ein Marker auf Feld 2 gestellt.
次のラウンドでは、1つのマーカーがフィールド2に置かれます。

3) Danach beginnt die nächste Runde mit dem Aufdecken einer neuen Punktekarte.
その後で次のラウンドが、新しい得点カードのオープンによって始まります。

不定冠詞の格変化:

男性名詞女性名詞中性名詞
1格         MarkereinKarteein Plättchen
2格eines Markers           Karteeines Plättchens
3格einem Markereiner Karteeinem Plättchen
4格         Marker           Karte         Plättchen




↓↓↓解答はコチラ↓↓↓




赤字が格を示している部分です。

1) Jeder Spieler erhält einen Marker, eine Karte und ein Plättchen.
各プレイヤーは、マーカー一つ、カード一枚、そして、タイル一つ受け取ります。

2) In der nächsten Runde wird ein Marker auf Feld 2 gestellt.
次のラウンドでは、1つのマーカーフィールド2に置かれます。

3) Danach beginnt die nächste Runde mit dem Aufdecken einer neuen Punktekarte.
その後で次のラウンドが、新しい得点カードオープンによって始まります。

不定冠詞の格変化:

男性名詞女性名詞中性名詞
1格ein Markereine Karteein Plättchen
2格eines Markerseiner Karteeines Plättchens
3格einem Markereiner Karteeinem Plättchen
4格einen Markereine Karteein Plättchen

うまく分類できたでしょうか?"ein Marker"は「一つのマーカー」、"einen Marker"は「一つのマーカー」を意味します。不定冠詞は必ず"ein"で始まり、「e」や「en」などの語尾がついたり、つかなかったりしています。

分類ができたら音声に続いて発音してみましょう。聞き取りが難しい場合は、下のカタカナ発音も参考にしてみてください。

不定冠詞の格変化

男性名詞女性名詞中性名詞
1格アイン・マーカーアイネ・カルテアイン・プレットヒェン
2格アイネス・マーカースアイナー・カルテアイネス・プレットヒェンス
3格アイネム・マーカーアイナー・カルテアイネム・プレットヒェン
4格アイネン・マーカーアイネ・カルテアイン・プレットヒェン

2.不定冠詞の変化パターンと意味

①変化のパターン:不定冠詞はこのように変化しますが、変化の仕方をもう少し見てみましょう。男性の1格と中性の1格・4格では同じ"ein"ですが、それ以外では語尾がついています。次の表では語尾の部分を赤字にしてみましたが、何かの変化に似ていないでしょうか?

男性名詞女性名詞中性名詞
1格ein MarkereinKarteein Plättchen
2格eines Markerseiner Karteeines Plättchens
3格einem Markereiner Karteeinem Plättchen
4格einen MarkereinKarteein Plättchen

はい、定冠詞の変化とだいたい同じです。参考までに定冠詞の変化と比較してみましょう。

定冠詞の格変化:
男性名詞女性名詞中性名詞
1格der MarkerdiKartedas Plättchen
2格des Markersder Kartedes Plättchens
3格dem Markerder Kartedem Plättchen
4格den MarkerdiKartedas Plättchen

いかがでしょうか?ドイツ語には定冠詞と不定冠詞以外にも、所有冠詞(mein=私の、dein=君の、など)や否定冠詞(kein=一つも~ない)があり、やはり性と格で変化するのですが、だいたい定冠詞・不定冠詞と似たような変化なので、早めに慣れておくと後が楽になるでしょう。

②不定冠詞の意味:次に不定冠詞の意味を見てみましょう。例文では、不定冠詞はどのような意味で使われているでしょうか?ヒントは個数です。

1) Jeder Spieler erhält einen Marker, eine Karte und ein Plättchen.
各プレイヤーは、マーカー一つ、カード一枚、そして、タイル一つ受け取ります。

2) In der nächsten Runde wird ein Marker auf Feld 2 gestellt.
次のラウンドでは、1つのマーカーフィールド2に置かれます。

3) Danach beginnt die nächste Runde mit dem Aufdecken einer neuen Punktekarte.
その後で次のラウンドが、新しい得点カードオープンによって始まります。

1番でも分かるように、個数としては一つを表しています。3番では訳に反映されていませんが、オープンされる得点カードは一枚です。

不定冠詞は、「一つの~、ある~」という意味で、数が一つのときや、話の中で初めて使う名詞など、不特定のもののうちの一つをあらわすときに使います。要するに「なんでもいいから一つ」といったイメージです。そのため、不定冠詞は複数形では使いません。

3.名詞の性と格を見極める(不定冠詞編)

次に穴埋め問題で、名詞の性と格の変化に慣れましょう。太字の名詞の性と格を確認して、不定冠詞einを変化させて、下線部に入れてみてください。3番は「タイルが必要」と訳していますが、名詞Plättchenは、動詞brauchst=brauchen(必要とする)の目的語として使われているので、1格ではありません。動詞が何格の目的語を取るかは、辞書で調べてみましょう。brauchenだと「(~4)を必要とする」という表記があると思います。

1) Jeder Spieler legt            Karte verdeckt vor sich ab.
                    (男・女・中/1・2・3・4)
各プレイヤーは、一枚のカードを裏向けで自分の前に置きます。

2) In der nächsten Runde wird            neue Punktekarte aufgedeckt.
                      (男・女・中/1・2・3・4)
次のラウンドでは、新しい得点カードが開かれます。

3) Brauchst du noch            Plättchen? ー Nein, das brauche ich nicht.
                     (男・女・中/1・2・3・4)
君はもう一枚タイルが必要なの?― いや、それは必要ないよ。

4) Gib mir bitte            Marker.― OK, hier ist es. (男・女・中/1・2・3・4)
マーカーを一つ取ってちょうだい。― OK、はいどうぞ。

5) Die Chips            Gegners dürfen nicht berührt werden.
(男・女・中/1・2・3・4)
競争相手のチップには、触れてはいけません。

6) Man gibt            Spieler den Startspielerstein.(男・女・中/1・2・3・4)
一人のプレイヤーに、スタートプレイヤートークンを渡します。

問題が解けたら下記リンクから、テキストトゥスピーチの音声も聞いてみましょう。

【ノーマルスピード】

【ゆっくりバージョン】




↓↓↓解答はコチラ↓↓↓




1) Jeder Spieler legt eine Karte verdeckt vor sich ab.
各プレイヤーは、一枚のカード裏向けで自分の前に置きます。

2) In der nächsten Runde wird eine neue Punktekarte aufgedeckt.
次のラウンドでは、新しい得点カード開かれます。

3) Brauchst du noch ein Plättchen? ー Nein, das brauche ich nicht.
君はもう一枚タイル必要としてるの?― いや、それは必要ないよ。

4) Gib mir bitte einen Marker. ― OK, hier ist es.
マーカー一つ取ってくれない。― OK、はいどうぞ。

5) Die Chips eines Gegners dürfen nicht berührt werden.
競争相手チップには、触れてはいけません。

6) Man gibt einem Spieler den Startspielerstein.
一人のプレイヤー、スタートプレイヤートークンを渡します。

※manは不定代名詞で、不特定の「人」を表します。漠然と不特定多数の人を指しますが、常に三人称単数扱いです。「人は」という意味ですが、文脈によっては訳さないことが多いです。

4.昔話の冒頭部分を書いてみよう

おまけの練習として、メルヒェン(Märchen=昔話、童話)の冒頭部分を創作してみましょう。定冠詞と不定冠詞を、名詞の性と格に応じて使い分ける練習も兼ねています。作例にならって、人物とアイテムを自由に決めて作文してみましょう。

【作例】

① 条件設定
主人公 :der Ritter(リッター)=騎士
主人公が訪れる人:die Hexe(ヘクセ)=魔女
アイテム:das Schwert(シュヴェーァト)=剣

② 作文
Es war einmal ein Ritter. Der Ritter besuchte eine Hexe. Denn er suchte ein Schwert und die Hexe hatte das Schwert. Die Hexe gab dem Ritter das Schwert.

昔々、一人の騎士がいました。その騎士は魔女のもとを訪れました。なぜなら彼は剣を探しており、その魔女がその剣を持っていたからです。その魔女はその騎士にその剣を与えました。

使う名詞を決めたら、下線部の単語を入れ替えてみましょう。名詞の性と格、定冠詞・不定冠詞の使い分けがポイントです。話の中で初めて出てくる名詞には、不定冠詞(ein/eine/ein)を使い、二度目に出てくる名詞、つまり、「その~」という意味で特定される名詞には、定冠詞(der/die/das)を使います。三文目では、男性名詞を「er」(彼は)で、女性名詞を「sie」(彼女は)で、中性名詞を「es」(その子は)で言い換えます。

単語の例(名詞の性はder/die/dasをつけて表しています。der=男性、die=女性、das=中性です):

主人公主人公が訪れる人物アイテム
1die Prinzessin=お姫様
(ディー・プリンツェスィシン)
der Zwerg=小人
(デア・ツヴェルク)
das Goldei=黄金の卵
(ダス・ゴルトアイ)
2der König=王様
(デア・ケーニヒ)
der Magier=魔法使い
(デア・マギーア)
der Zauberstab=魔法の杖
(デア・ツァオバーシュタープ)
3das Mädchen=女の子
(ダス・メートヒェン)
die Hexe=魔女
(ディー・ヘクセ)
der Edelstein=宝石
(デア・エーデルシュタイン)

書き方のヒント:下線部の語を、使う名詞の性に合わせて選びます。「男性/女性/中性」の順番に並んでいます。

Es war einmal ein/eine/ein ~. Der/Die/Das ~ besuchte einen/eine/ein ~. Denn er/sie/es suchte einen/eine/ein ~ und der/die/das ~ hatte den/die/das ~. Der/Die/Das ~ gab dem/der/dem ~ den/die/das ~.




↓↓↓表の単語を使った作成例はコチラ。テキストトゥスピーチの音声もあります。↓↓↓


【メルヒェン1:die Prinzessin+der Zwerg+das Goldei】

【メルヒェン2:der König+der Magier+der Zauberstab】

【メルヒェン3:das Mädchen+die Hexe+der Edelstein】


作成例:
1. Es war einmal eine Prinzessin. Die Prinzessin besuchte einen Zwerg. Denn sie suchte ein Goldei und der Zwerg hatte das Goldei. Der Zwerg gab der Prinzessin das Goldei.

2. Es war einmal ein König. Der König besuchte einen Magier. Denn er suchte einen Zauberstab und der Magier hatte den Zauberstab. Der Magier gab dem König den Zauberstab.

3. Es war einmal ein Mädchen. Das Mädchen besuchte eine Hexe. Denn es suchte einen Edelstein und die Hexe hatte den Edelstein. Die Hexe gab dem Mädchen den Edelstein.

※Mädchenは「女の子」なので、意味的に女性名詞に思われるかもしれませんが、中性名詞なので、定冠詞は「das/des/dem/das」のどれかを使い、「その子は」という意味で言い換えるときは「es」を使います。


※  ※  ※


いかがでしょうか?Es war einmal ...は「昔々、~がいました」という典型的なメルヒェンの出だしです。動詞(war, besuchte, suchte, hatte, gab)はすべて過去形になっています。過去形については、またそのうちに取り上げます。

それではまた次回、bis zum nächsten Mal!

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